授業に関して、海外と日本の大学に違いはあるの?
データサイエンスの修士課程(マスターコース)の授業って大変なの?
留学を検討している方にとっては気になるポイントですよね。
- オーストラリアの大学の講座の特徴は何か
- 留学中はどのような勉強スケジュールか
目次
修士課程は2種類
オーストラリアのマスターコースは、コースワーク(Course Work)とリサーチワーク(Research Work)の2種類があります。
聞きなれない言葉ですね。この2つにはどんな違いがあるんですか?
例えば、日本で工学修士を取得する場合、1)研究室での研究活動、2)定められた専門講座の履修、の両方が必要になります。しかし、オーストラリアのマスターコースは、この2つが別々で提供されています。(ほとんどの欧米の大学院はこのスタイル)
コースワークとは、専門家になるために体系化されたカリキュラムから、定められた単位数の講座(クラス)を選択・履修し、専門家としての知識・スキルを身につけるコースです。つまり、研究室には所属せず、指定の専門講座の単位を取得すれば修士号が得られます。
一方、リサーチワークは日本の修士学生が研究室で過ごす生活に近いです。学生は希望する研究室に所属し、指導教官のもとで研究活動を通じて専門家としての知識・スキルを身につけます。こちらのコースで入学するためには、背景知識、学歴、経験がより強く求められます。
UQのデータサイエンス・マスターコースはコースワークに分類されていますが、学内の研究室のプロジェクトテーマを選択すること、あるいは、パートナーシップを結んだ学外の企業との共同プロジェクトに参加することができます。学びたいと思う専門分野のリサーチに関わることは可能です。
個人的にはコースワークと言いながらも、リサーチに関われる機会が提供されている点に満足しています。
講座の特徴
授業の受け方は日本と同じなんですか?
講座は、レクチャー(Lecture)、チュートリアル(Tutorial)、プラクティカル(Practical)の3つのタイプの授業がセットとなって提供されています。
レクチャー:Lecture
大きな会場で行う講義です。大人数が参加します。授業の時間は2〜3h/weekです。
チュートリアル:Tutorial
少人数制の授業です。授業の時間は1h/weekです。この時間は、講義の理解度を深めるための授業です。授業にはチューターが複数名ついており、質問があればチューターにします。
プラクティカル:Practical
レクチャー、チュートリアルで学んだ理論に関連した実技を身につける授業です。時間は1h/weekです。
1講座あたりの学習時間
1つの講座に4〜5h/weekの授業時間、加えて、目安として、予習に2h/week、復習に2h/weekかけます。これに課題、エッセイ、試験勉強が加わります。大学からは、1つの学期(セメスター)で選択する講座は最大で4つと推奨されています。
選択する講座の数は少ないですが、ひとつの講座の密度が驚くほど濃いです。
タイムテーブルの例
時間割はどんな感じになるんでしょう?
私のセメスター1のタイムテーブルです。(期間:2020年4月27日〜5月1日)
緑が授業、赤と黄が課題の締め切り、青はチュートリアルの予備日です。4つの講座だけで1週間の予定が埋まります。
こちらはStudy Plusで管理している学習記録です。グループワークなどの時間は含まず、純粋に個人ワークとして勉強した時間の記録になります。
スキマ時間に、アサイメント、エッセイ、グループミーティング、試験勉強、に取り組むことになります。もちろん休憩に使ってもOKです。
インターンシップの参加を検討するのであれば、企業調査、CV、カバーレター、インタビューの準備に取り組む必要もあります。
学期中は1日あたり8〜9時間ほど勉強していました。
授業がすべて終了したあと、期末試験に向けて1〜3週間の試験準備期間が設けられます。基本的に期末試験の範囲は全範囲となります。この期間は勉強と復習だけに集中できます。
少し苦労するポイント
海外の大学で大変なことって何がありますか?
まだ修学中ですが、個人的に大変だと思ったことを3つ紹介します。
英語コミュニケーション
初めて海外で生活するヒトにとって、必ず当たる壁でしょう。
入学のために定められた基準の英語試験をパスしたとはいえ、現実の会話は、試験英語のように筋が通った会話ばかりではありません。学生同士のディスカッションは、とくに苦労しました。(今でも苦労してますが…)
分野ごとの特有の表現方法や専門用語も覚える必要があるため、入学のときの英語学習とは違った苦労があります。
タイムマネジメント
学期中の3〜4ヶ月間の時間の大部分は勉強にあてることになります。
授業が始まる前は、「みんなで遊びに行こう」「飲みに行こう」とか言ってましたが、学期が始まると大勢の修士学生からその余裕は失われます。
勉強のために図書館に泊まり込んでいる学生もおり、学期中はキラキラした留学生活ではないです。大学の図書館も安定の24時間営業です。
とはいえ、就業や育児しながらマスターコースに通う学生もいます。タイムマネジメント力を身につけることで勉強ばかりの生活は回避できる、ということも一言そえます。
私は、試験がない日曜日は絶対に休むと決め、地域のサッカーコミュニティに参加することで気分転換をしています。
アカデミックライティング
大学の一つの使命でもある「教育」という理念に従って、盗用・剽窃に対しては非常に厳しいです。UQは、Turnitinというシステムで盗用・剽窃の確認をしています。当然、盗用・剽窃が発覚した場合、単位に重大な影響を及ぼすペナルティが学生に課されます。
エッセイ、レポートは、自分の言葉で書かなければいけません。また、アカデミックライティングのルールに従って書く必要があり、これを無視しても大幅に減点されます。使用する英単語は、アカデミックワードを使用する必要があります。書き方が正しくなければ、ネイティブでも高い評価は得られません。
アカデミックライティングは訓練する必要があり、ネイティブでも勉強しないと身につかないスキルです。
また、入学に必要となるIELTSでは 250字程度のエッセイが試験に出ますが、課題となるレポート・エッセイは700~800字、多ければ4000~8000字の分量が求められます。考えを論理的にまとめる力も必要になります。
ソースコードを提出するアサイメントもありますが、こちらも同様に、盗用・剽窃ではないかシステムを使って確認されます。
海外大学は「卒業まで気を抜けない」ということがよく分かりました。学期中の大部分の時間は勉強に使うことになります。(当然っちゃ当然ですが。)
まとめ
今回は、UQのデータサイエンス・マスターコースの授業の様子を紹介しました。
データサイエンティストを目指す学生が、UQではどんな風に勉強しているかイメージできたでしょうか。
最後にオーストラリアのマスターコースについてまとめます。
- オーストラリアのマスターコースはコースワークとリサーチワークの2種類
- UQのデータサイエンス・マスターコースはコースワークに分類
- 1講座は、基本的にはレクチャー、チュートリアル、プラクティカルの3つの授業から構成
- 1セメスターに取る講座の数は最大4つを推奨
以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました!
限定的ではありますが、この記事では、私が通うクイーンズランド大学(UQ)のデータサイエンス・マスターコースを例に、オーストラリアの大学院の授業について紹介します。