英語圏の大学院に進学するためには、英語力証明書(IELTS or TOEFUL-iBT)を大学に提出する必要があります。

この記事では「出願の際に必要となるIELTS」についてまとめました。
- IELTSとはどんな試験か
- IELTSを勉強する前に何を知っておく必要があるか
目次
IELTSとは?
概要
IELTS(International English Language Testing System)は、米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国を含む英語圏の国々へ1)留学、2)就労、3)移住、を希望する人々の英語力を測定するために使用される試験です。ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationの共同で運営されています。
英語圏の国々のほぼ全ての高等教育機関(10,000以上)が、IELTSのスコアを採用しており、グローバルスタンダードとして世界が認める英語力証明書です。
IELTSの年間受験者数は、2020年時点で、およそ350万人と言われております。
アカデミックとジェネラル・トレーニング
IELTSには、アカデミック(Academic)とジェネラル・トレーニング(General Training)の2タイプがあります。
基本的に入学のために提出するのはIELTSアカデミックのスコアです。間違えないように気をつけましょう。
ちなみに、ジェネラル・トレーニングは、オーストラリア、カナダ、英国への移住や就労申請のために必要となる試験です。
試験に関する情報

試験内容
IELTSは、4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の試験から構成されています。試験内容、時間を以下に記載します。
技能 | 問題数 | 時間 |
---|---|---|
リーディング | 40問 | 60分 |
リスニング | 40問 | 40分 |
ライティング | 2問 | 60分 |
スピーキング | – | 12~15分 |
リーディング
40問の問題が3つのセクションから構成されており、試験時間は60分です。
各セクションはおよそ900ワードの文書で、ひとつのセクションには13~14の問題が含まれます。「選択肢」「情報の識別」「トピックの選択」「情報・内容一致」「情報の要約」に関する問題です。
テストに使用される文章は、実際に使用されている書籍・新聞・雑誌から抜粋されたものです。内容は一般向けであり、高スコアを取るために専門知識は必要ありません。
リスニング
4つのパートから構成されており、30分がリスニング、10分が試験用紙に回答するために時間が設定されています。各パートは以下の内容で構成されています。
- Part1: 2人の人物による日常会話 (電話、ホテルの予約、旅行、ジムの案内、など)
- Part2: 日常生活におけるモノローグ (受付の説明、地図の描写説明、授業概要の説明、など)
- Part3: 学校やビジネスの現場での3~4名の会話 (プロジェクトのディスカッション、研究テーマの相談、授業の相談、など)
- Part4: 学術テーマに関するモノローグ (学会や授業の講義)
ライティング
ふたつのタスクから構成され、試験時間は60分です。アカデミックかつセミフォーマルかつ中立的な立場で書く必要があります。
- Task1: 棒グラフ、線グラフ、表、地図が提示されますので、グラフから読み取れる情報を要約し、説明します。文章は150字前後で書く必要があります。時間配分としては、15~20分で書くことが推奨されます。
- Task2: 質問に対し、意見、論点、問題をまとめたエッセイを書きます。文章は250字前後で書く必要があります。時間配分としては、35~40分で書くことが推奨されます。
限られた時間内にタスクをこなすためには、論理的に文章をまとめ、展開する能力も要求されます。
「タスクへの返答」「一貫性」「語彙」「文法」の4点が採点項目になっています。IELTSのアカデミックライティングはネイティブでも訓練が必要であり、訓練なしに高得点は取れません。
Task1よりTask2の採点の比重が大きいため、試験はTask2から取り組んだほうがいいです。
スピーキング
試験官との会話で、スピーキングテストは3つのパートから構成されています。また、テストは個室で行われ、客観的な採点を行うために録音されます。スピーキングテストの時間は目安で12~15分です。
- Part1: 自己紹介とインタビュー (4~5分)
- Part2: スピーチ (3~4分)
- Part3: ディスカッション (4~5分)
Part1は、試験官との短い会話です。試験官が、家族や趣味などの一般的な質問をしますので、2~4文ほどの短いスピーチで返します。Part1では、長いスピーチは必要ありません。
Part2は、与えられたタスクカードに対して、スピーチを行います。スピーチの準備時間が1分与えられ、2分のスピーチを行います。スピーチ後に、試験官が1~2問の質問をします。
Part3は、Part2に関する質問をさらに掘り下げます。受験者自身の意見と、その根拠を示しながら議論します。
スピーキングは、「流暢さと一貫性」「語彙力」「文法知識と正確さ」「発音」の4点が採点項目になっています。
スコアの計算方法
IELTSの総合点はOverall Band Scoreと呼ばれます。Overall Band Scoreは、4技能の平均を四捨五入した値になります。
受験者 | リーディング | リスニング | ライティング | スピーキング | 平均 | Overall |
---|---|---|---|---|---|---|
A | 6 | 6.5 | 6 | 6.5 | 6.25 | 6.5 |
B | 7 | 6 | 6.5 | 6.5 | 6.5 | 6.5 |
C | 7 | 7 | 6 | 6.5 | 6.625 | 6.5 |
例えば、上の表だと、平均はみんなバラバラですが、Overall Band Scoreは同じ6.5になります。

Overall Bandを0.5あげるために100~300時間の学習が必要と言われています。
データサイエンスコースの入学に必要なIELTSのスコア
多くの大学院のデータサイエンスコースで求められるIELTSのスコアは、最低でもOverall:6.5 (全科目6.0以上)です。
なかにはOverall7.0や7.5を要求する大学もあるので、進学したい大学の募集要項は、しっかり確認しましょう。
日本人のIELTSの平均点によると、日本人は、リーディング・リスニングといった英語のインプット力より、ライティング・スピーキングのアウトプット力を苦手、としています。もしOverall:6.5が目標なら、
リーディング | リスニング | ライティング | スピーキング | 平均 | Overall |
---|---|---|---|---|---|
6.5 | 6.5 | 6 | 6 | 6.25 | 6.5 |
7 | 6 | 6 | 6 | 6.25 | 6.5 |
を目標にする方が多いです。自分の得意科目をはやめに把握し、試験対策を立てるとよいでしょう。
IELTSの難易度
一概に他の試験同士を比較できないのですが、よくある換算表を載せておきます。
IELTS | TOEFUL-iBT | TOEIC | 英検 |
---|---|---|---|
9.0 | 116 – | N/A | N/A |
8.0 – 8.5 | 106 – 115 | N/A | N/A |
7.0 – 7.5 | 95 – 105 | 945 – 990 | 1級+ |
6.0 – 6.5 | 72 – 94 | 805 – 940 | 準1級-1級 |
5.0 – 5.5 | 55 – 71 | 605 – 800 | 2級 – 準1級 |
4.0 – 4.5 | 42 – 54 | 410 – 600 | 2級 |
Overall6.5を取るためには、英検準1級〜1級相当の英語力が必要となります。
費用
受験料は1回あたり¥25,380です。日本で人気のTOEICと比べると試験料は高いです。
申し込みの際、試験当日に有効なパスポートも必要です。気をつけましょう。
申し込み案内はこちらになります。
試験会場・日程
日本国内では、コンピュータ受験を含めると、21年時点で、17都市(札幌・函館・仙台・東京・横浜・埼玉・山梨・名古屋・大阪・京都・神戸・岡山・広島・福岡・北九州・熊本・長崎)で受験することができます。
テスト会場によりますが、東京などの大きな都市圏では、月に3~4回ほど試験が実施されています。試験会場・日程はこちらから確認できます。

コンピュータ受験が選べるのもありがたいですね!
IELTSの勉強を始める前に
私からのオススメは、
- 問題傾向の把握
- 一度、問題を解いてみる
- 勉強開始
です。
まずはスコアを気にせず、実際に過去問か模擬問題を解いてみることが、IELTSを知るには一番効果的だと思います。
IELTSの対策に役立つサイト&教材

以下は、IELTS公式から提供される無料テストと推奨される解き方の解説です。必ず見てください。ひとつの動画は3~5分で、視覚的にも分かりやすく解説してくれています。理解することが大事なので、日本語訳にしてもいいと思います。
大学のオリエンテーションでも、大学生活を過ごすための必須スキルとして、IELTSで学んだスキルを説明していました。英語圏の大学生は、IELTSで求められているスキルを入学前に身につけなければいけないと考えてください。
実際のビジネスでも、プレゼンの仕方、情報整理の仕方、など、絶対に役立つスキルであり、知っておいて損はしないと思います。
- IELTS Practice Test: IELTS公式から提供される無料テスト。本番と同じ形式・レベル。
- IELTS Reading: リーディングを解説した動画。
- IELTS Listening: リスニングを解説した動画。
- IELTS Writing: ライティングを解説した動画。
- IELTS Speaking: スピーキングを解説した動画。
- IELTS Speaking Sample: 公式からの各バンドごとのサンプル動画。スピーキング試験の雰囲気を掴むには必見。
最後に参考書籍も紹介させて頂きます。
こちらは日本語で丁寧にIELTSの対策を解説してくれているオススメの一冊です。
- テスト概要の説明
- 試験対策・練習問題・よくある間違いと解説
- 試験に使える便利なフレーズ集
- 練習問題と模擬試験2回分
が含まれております。
こちらはIELTSの公式問題集(過去問)です。16が最新版で、番号が大きいほど新しいです。公式問題集は必ず購入して解きましょう!
まとめ
いかがでしたか?IELTSがどんな試験かイメージできたでしょうか。
- IELTSはグローバルスタンダードとして世界が認める英語力証明書
- 英語力証明書はIELTSアカデミックのスコアを提出
- IELTSは4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の試験
- 受験料は¥25,380、試験は月3〜4回の頻度で実施
- 日本人はリーディング、リスニングのインプットは得意、ライティング、スピーキングは苦手
- 一度問題を解いてみて、自分の得意分野を把握
- IELTS公式問題集は手に入れ、必ず解く

おぉ…やること多くて大変そうですね。私にできるか不安になってきました…

内容が盛りだくさんで、本当に達成できるのか不安に思うかもしれません。私も英語は不得意で不安でいっぱいでしたが、継続すれば力は必ずつきます!
自分を信じて、夢の実現に向けてまずは一歩を踏み出してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
IELTS?初めて聞いたんですが、どんな試験なんですか?難しいんでしょうか?