ある条件を満たすと、線形結合に扱われるベクトルは、線形独立、または、線形従属と呼ばれます。線形独立・線形従属は、他のベクトルと任意のスカラーで対象とするベクトルを表現できるか否かを示します。
- 線形結合とは何か
- 線形独立と線形従属の違いは何か
目次
線形結合: Linearly Combination
まず、線形結合ってなんでしたっけ?
線形結合(Linearly combination)は、スカラー(定数)と複数のベクトル(各項)を掛け合わせた結果を足し合わせて構築した式です。線形結合は、線形代数における重要な概念です。
\(\{v_1, v_2, \cdots, v_k\}\)を\(n-\)ベクトルの集合、\(\beta_1, \beta_2, \cdots, \beta_k \)をスカラーとおきます。
このとき、ベクトル\(v_1, v_2,\cdots, v_k\)とスカラー\(\beta_1, \beta_2, \cdots, \beta_k \)を使って作れる\(n-\)ベクトルを
$$\beta_1 v_1 + \beta_2 v_2 +\cdots+\beta_k v_k$$
と表せます。この式をベクトル \(v_1, v_2, \cdots, v_k\)の線形結合と呼びます。
また、スカラー\(\beta_1, \beta_2, \cdots, \beta_k \)は、線形結合の係数(coefficients)とも呼びます。
線型独立と線形従属
続いて、線形独立と線形従属についてまとめます。
結論から言うと、線形独立と線形従属の判別は、線形結合のスカラーが全て0か否かで判断します。
線形独立: Linearly Independent
線形独立ってどういう状態なんでしょう?
ベクトル \(v_1, v_2, \cdots, v_k \quad (k\geq1) \)を使って表される線形結合に対して、\(\beta_1= \cdots=\beta_k = 0 \)のときだけ
$$\beta_1 v_1 + \beta_2 v_2 +\cdots+\beta_k v_k=0$$
が成立する場合を、線形独立と呼ぶ。
線形独立のベクトル \(v_1, v_2, \cdots, v_k\)が、任意の\(n-\)ベクトルを生成できるとき、 線形独立のベクトル \(v_1, v_2, \cdots, v_k\)は、基底(basis)と呼ばれます。
新しく生成する\(n-\)ベクトルを\(b\)、スカラーを\(\alpha_1, \alpha_2, \cdots, \alpha_k \)、基底を \(u_1, u_2, \cdots, u_k\)とおくと、\(b\)は、線形結合により
$$\alpha_1 u_1 + \alpha_2 u_2 +\cdots+\alpha_k u_k=b$$
と表すことができます。
また、基底を構成するベクトルの数は次元(dimension)と呼ばれます。\(v_1, v_2, \cdots, v_k\)が基底の場合、次元の数は\(k\)です。
基底は、新しいベクトルを生成するために活躍する無駄がない特徴的なベクトルとイメージしています。
線形従属: Linearly Dependent
では、線形従属はどんな状態ですか?
ベクトル \(v_1, v_2, \cdots, v_k \quad (k\geq1) \)を使って表される線形結合に対して、\(\beta_1, \cdots,\beta_k\)の全てが0にならなくても
$$\beta_1 v_1 + \beta_2 v_2 +\cdots+\beta_k v_k=0$$
が成立する場合を、線形従属と呼ぶ。
ベクトルが線形従属であるとき、少なくとも一つのベクトルを、他のベクトルの線形結合で表すことができます。
例えば、\(\beta_i \neq 0\)とすれば、ベクトル \(v_i\)は
と表すことができます。
理解を深めるためのオススメ動画
文章ばかり読んでもスッと頭に入らないこともあると思います。最後に、理解を深めるためにオススメされた動画を2つ紹介します。
- MITで教鞭を取られるGilbert Strang教授からの公開動画。22年1月で御年87歳。大学のホームページを拝見する限り、21年も講義をされているようです。(2)
- 3Blue1Brownからの動画。線形結合、基底の全ての概念をきれいな動画1本にまとめてくれています!
「3Blue1Brow」の動画は人気みたいですね!
まとめ
この記事の内容をまとめます。
- 線形独立と線形従属は、線形結合のスカラーから判定可能
- 線形独立:線形結合\(\beta_1v_1+\cdots+\beta_kv_k=0\)が、全てのスカラーが0のときに成立
- 線形従属:線形結合\(\beta_1v_1+\cdots+\beta_kv_k=0\)が、全てのスカラーが0にならなくても成立
この記事は以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました!
参考資料
この記事は復習のために「線形独立と線形従属」についてまとめます。