Juliaと遊ぶ線形代数(4) 線形方程式

ビッグデータのような大規模データを扱うため、線形代数に関する知識・スキルが必要になります。

10年以上前に大学で線形代数を履修しましたが、その後、所属した化学系研究分野では、線形代数を利用する機会は皆無でした。

理系卒といえど、分野によっては、線形代数が何のために、どのように利用されているか知らない人は多い気もします。

ワカメさん

この記事は「線形方程式(or 線形方程式)」についてまとめます。

この記事がカバーする内容
  • 線形方程式・線形方程式系とは何か
  • ベクトル・行列を使ってどうやって解を計算するか
  • 計算過程の違いが計算時間にどのように影響するか
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線形方程式

線形(線型)方程式(linear equation)は、全ての項の最大次数が1の式です。

線形方程式は$$ax+by = c$$と書けます。

\(x, y\)を変数(variable)、\(a, b, c\)を定数(constant)と呼びます。

線形方程式は\(y=mx+n\)と表すことができ、eg.1より直線であることが分かります。

eg.1
\(y=-x+3 \quad y=2x+4\)

線形方程式系は複数の線形方程式(一次方程式)の組です。

\[\left\{
\begin{array}{rcrcrc@{\qquad}l}
x & + & y &= &3\\
2x & – & y &= &-4\\
\end{array}
\right.
\]

線形方程式系は行列表記できます。

$$
A \boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}
$$

\(
A=\begin{bmatrix}
1 & 1\\
2& -1
\end{bmatrix}, \quad
\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix}
x\\
y\end{bmatrix}, \quad
\boldsymbol{b} = \begin{bmatrix}
3\\
-4\end{bmatrix}
\)です。

\(A\)を係数行列(coefficient matrix)、\(\boldsymbol{x}\)を解ベクトル(solution vector)、\(\boldsymbol{b}\)を定数項ベクトル(constant vector)と呼びます。

ワカメさん

線形方程式系は「連立方程式系」や「連立一次方程式」とも呼ばれます。

解のパターン

線形方程式系には

  1. 解が1組に決まる問題
  2. 解が無数にある問題
  3. 解が存在しない問題

の3パターンがあります。

問題を解くときは解のパターンを気にするようにします。

逆行列を使った計算

\(A\)が正則行列(regular matrix)の場合、逆行列(\(A^{-1}\))を持ちます。

正則行列の条件
  1. \(A\)は正方行列
  2. \(det(A) \neq 0\)
ワカメさん

逆行列(\(A^{-1}\))は、正方行列(\(A\))に対して左右どちらからかけても単位行列を作る行列です。
$$A^{-1}A=E \qquad AA^{-1}=E$$

\(A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}\)より、逆行列を使って解ベクトルを得られます。(逆行列法)

$$\boldsymbol{x}=A^{-1}\boldsymbol{b}$$

Juliaでは、以下のコードから逆行列を使って\(\boldsymbol{x}\)を解けます。

コードの解説
  • det()行列式(determinant)を計算します。
  • \(A\)が正則行列であれば、inv()は逆行列を返します。inv(A)*xから\(\boldsymbol{x}\)を計算できます。
  • A \ bからも\(\boldsymbol{x}\)を計算できます。

inv()\の計算時間を比較したところ、\の方がおよそ3倍速いようです。

\はLU分解を適用しているため、inv()より計算が速いという話もありますが(4)inv()について詳しく理解できていないです。

まとめ

線形方程式
  • 線形方程式は最大次数が1次の式
  • 線形方程式は直線
  • 線形方程式系において、解のパターンは3つある
  • 係数行列\(A\)が正則行列ならば、逆行列を使って解を計算できる
  • \inv()より計算が速い

この記事は以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考文献

(1) : Boyd, S., & Vandenberghe, L. (2018). Introduction to applied linear algebra: vectors, matrices, and least squares. Cambridge university press.

(2) : Julia, “Linear Algebra” (6/27/2021アクセス)

(3) : 武内修@筑波大, “線形代数Ⅰ/連立一次方程式” (6/28/2021アクセス)

(4): stack overflow, “Inv() versus ‘\’ on JULIA” (6/29/2021アクセス)

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