データサイエンスコースを提供する大学はたくさんあるし、どう選んだらいいのか分からない!
このページを訪問しているということは、こんな悩みを抱えているのではないでしょうか。
目次
大学選びのポイント
どのようにして大学を絞りましたか?データサイエンスコースを提供する大学はたくさんあり、候補先を絞るスタートダッシュからつまづいています。
わたしの場合は下記5点を重視して大学を探し始めました。
- IT分野だけに限定せず、幅広い分野からも学生を募集しているデータサイエンスコース
- 基礎から応用を学ぶことができるデータサイエンスコース
- 教育の評価・評判がいい大学
- 工学・医学・心理の分野でも有名な研究大学
- 英語圏の大学
なぜこの5つを重視したんですか?
- IT・数学の知識・スキルが乏しいため、基礎から徹底的に学びたい
- せっかく大学に行くのだから、自分の関連分野の専門家とコネクションも作りたい
- 仕事、研究で通用する英語力を磨きたい
という理由からです。
この時点で、まずは、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3カ国が留学先の候補地に絞られました。
大学の情報収集
候補地がぼんやりと絞れたら、具体的な情報収集に取り掛かりました。
候補地が決まったとはいえ、入学までのプロセス、入学試験の方法、年齢的なハードル、学業成績・専門分野の選考への影響、学費、コース修了までの期間、などの疑問が出てきました。
そこでわたしは、(1)サイト、(2)友人、(3)留学フェア、(4)留学センター、からこれらの情報を収集しました。
サイト
大学選びにどんなサイトを利用しましたか?
私が大学の候補を絞るために使用したサイトはこちらになります。
- Master’s in Data Science: 米国データサイエンスコースの検索
- MS in Data Science in UK: 英国データサイエンスコースの検索
- Top 10 Master of Data Science College in Australia: 豪州データサイエンスコースの検索
- QS World University Ranking: 大学の評価を調査
まず、上記のサイトから、希望にマッチする大学の候補をQSランキングと照らしながら絞り込みました。
海外に大学の偏差値という考えはありませんが、個人的にはランキングは気にした方がいいと思います。
大学に行く価値は勉強だけでなく、1)様々な分野の人達と出会いから多様性や価値観を学ぶこと、2)大学で得られる新たなネットワークの形成すること、も含まれると考えているからです。
QSランキングの指標から、「教育環境・施設はいいのか」「何の研究分野に強いのか」「国際的に評価されているのか」「留学生は多いのか」「学生サポートの満足度は高いか」という点を見積もれます。
友人
幸い、米国のデータサイエンスに携わるPhDの友人がいましたので、大学のデータサイエンスコースの選択について相談しました。
企業派遣としてラボに直接留学する手段もありましたが、友人曰く、
- 企業派遣は主にリサーチが目的、ラボで研究するためのスキルをすでに持っている必要がある
- ラボに入れたとしても、ラボで取り組んでいるテーマに注力する可能性が高い
とアドバイスを受けました。
データサイエンスの基礎から応用までを幅広く学びたいという希望から、私にとってはデータサイエンスコースへ受験入学することがベストと判断できましました。
留学フェア
20年度は残念ながらコロナで中止だったそうですが、例年、大使館や団体の主催で、東京・大阪などの都市で留学フェアが開催されています。
留学フェアでは大学の卒業生、現役の大学生、大学の担当者がアドバイザーになってくれます。
私も一度留学フェアに参加しましたが、ネット以外から、大学の雰囲気や情報を知ることはモチベーションアップにも繋がると思います。
留学センター
入学に必要な情報の多くは、留学センターから得られました。また、願書の申請、ビザの手配など、入学までに必要な手続きの多くは留学センターにサポート頂きました。
私は「オーストラリア留学センター」さんにとてもお世話になりました。
面白いところは、オーストラリア留学センターは全豪の各教育機関から運営費を頂いているため、私たちが支払う費用は0円という点です。知人からは「詐欺じゃないかちゃんと確認しなさい」とも言われました。
サイトで調べた後は、留学センターに相談してみるのが、情報をはやく整理できるのでオススメします。
留学センターから受ける入学サポート費用が無料というのはすごいですね!
コース内容
大学選びに関して、特に気をつけて欲しい点がひとつあります。
それは「コース名がデータサイエンスコースであっても、大学ごとで、コースカリキュラム、学費、入学時期、などが異なる」ということです。
ここでは、私が調べていたいくつかの大学を例に、それぞれの違いをまとめます。
コースカリキュラム
データサイエンスコースなのにコースカリキュラムが違うってどういうことですか!?
大きくわけて2パターンの違いがあります。
ひとつが、企業で即戦力になるデータサイエンティストを育成するコースです。例えば、University of San Franciscoだと、1年間のFull-timeのコースです。そのうち、9ヶ月間は授業と並行して、パートナーシップを組んでいる企業に勤務し、プロジェクトを担当します。(1) このようなコースは、入学時にすでに基礎スキルを習得している必要があります。
もうひとつは、基礎からデータサイエンティストを育成するコースです。このようなコースは2年でカリキュラムが組まれていることが多いですが、基礎をすでに習得している方は、初めから応用の授業を受講することが可能です。その場合、1.5年で修了もできます。入学時点で、求められているスキルも高くなく、多くの方にとって入学しやすいコースだと思います。
授業の受け方には注意が必要です。対面式とオンライン式が提供されています。例えば、UC BerkeleyのSchool of Informationはオンラインでの提供でした。
情報収集は最近の大学の授業提供方法の変化を学べて楽しかったです。
修了までの期間
修了、卒業するまでの期間も大学ごとで異なります。
1年で修了するコースもあれば、1.5年、2年のコースもあります。Full-timeとPart-timeを選ぶことができ、仕事をしながら授業に参加される方もいます。私が通うコースにも、働きながら勉強している方がいます。
学費
海外留学の費用はいくらくらいするんでしょうか?
計算したところ、欧米の大学の年間授業料は¥300万を超えてました。取得した授業の種類に応じて授業料が設定されているため、金額は人によって変動します。
これに対し、日本の学費は国公立ですと年間およそ¥54万です。やはり海外の大学は高いです。
学費を払うために、貯金、学生ローン、国・企業・大学・団体からの奨学金の受給の3パターンが考えられます。奨学金受給が理想的な方法だと思いますが、受給するためには勉強を頑張るしかないです。
コースには企業との協働プロジェクトもあり、パートナー企業から奨学金が出るプロジェクトもあります。
人材育成環境が整った会社で勤務されている方であれば、会社に留学をサポートしてもらえないかPRするのも手です。
現地のアルバイトで稼ぐという案もありますが、私はオススメしません。慣れない環境ですので、まずは勉強に集中すべきです。また、授業がある期間は忙しく、他のことをする余裕もないと思います。
入学時期
入学時期は日本と違うため注意しましょう。年に2回の入学時期を設けている大学と、年1回しか入学時期がない大学があります。入学の季節は国ごとで異なりますが、オーストラリアの2学期制の大学の場合、入学の時期は2月と7月あたりになります。
願書の締め切りと入学の時期は、大学のホームページから、はやめに確認した方がいいです。
応募資格
わたしは20代後半なんですが、そんな年齢でも大学に行けるんでしょうか?
年齢に関しては制限がないです。年齢を気にする必要はないです。
大学は学びたい人が学びに来る場です。見た目からも年齢なんて分かりませんし、年齢を聞くことがタブーな国もあります。
特にデータサイエンスが新しい分野ということもあり、この分野の学生の年齢は幅広いです。
30代で学期中に子供が生まれたお父さん、40代で2人のお子さんがいるお母さん、50代エンジニアの方もいます。このブログの管理人も30代で子持ちのお父さんです。
また、海外の大学は学部卒業後に社会人経験を数年積んだ後、修士を取得するために大学へ戻る方が多いです。
そのため、日本より学生の平均年齢は高い傾向にあります。応募条件に、数年の社会人経験を求めている大学もあります。
学生の年齢の幅広さには本当に驚かされます!誰でも、何歳からでも、学びの気持ちさえあれば、学んでいいんだと思えました。
データサイエンスコースに入学するために専門性は求められますか?
応募条件で求められるバックグラウンドに関しては、大学ごとで異なります。
大きくは、
- IT、数理・統計に関する両方のスキルを持っている
- IT、数理・統計のいずれかのスキルを持っている
- どちらのスキルも持っていない
の3つのどれかに分類されます。
自分に応募資格がある大学のコースを探さなければいけません。基本的には、提出する書類や面接で確認されることになります。
ただし、これはあくまで基準であり、ダメ元で出して受かるというパターンもあるみたいなので、諦める必要はないと思います。
出願に必要な書類
出願の際、何の書類を大学に提出しないといけないのでしょうか?
データサイエンスコースの出願で必要になる基本的な書類をテーブルにまとめます。
もちろん大学ごとで多少異なるので、あとで希望する大学のホームページで確認してください。
米国 | 英国 | 豪州 | |
履歴書/カバーレター | ◯ | ◯ | ◯ |
志望動機書 | ◯ | × | × |
学業成績証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
卒業証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
英語力証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
GMAT/GRE | ◯ | × | × |
推薦書 | ◯ | × | × |
履歴書/カバーレター:1〜2ページで学歴、職歴、取得しているスキル、これまで達成したことを記載し、自分をPRします。
志望動機書:なぜこの大学のコースを受けたいのか、卒業後は何をしたいのか、を書きます。就活のエントリーシートと同じです。
学業成績証明書:大学の時の成績証明書です。英語版で発行してもらうよう、卒業大学に依頼しましょう。在学生のGPA平均が3.6とか記載されていて、ビックリしますが、スケールが違うので、得点調整があります。一度、落ち着いて計算してみましょう。また、私の学部時代のGPAは2.8、修士の時は3.1ほどでしたが、それでも合格できました。論文・特許等の実績が評価されたかな、と個人的には思っていますが、GPAが低いと落ちるわけではないです。
卒業証明書:大学の卒業証明書です。同じく、英語版で発行してもらうよう、卒業大学に依頼しましょう。
英語力証明書:IELTS、もしくは、TOEFUL-iBTを受験する必要があります。試験は、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4科目です。データサイエンスコースの場合、一般的には、IELTS: 総合6.5以上(全科目6.0以上)、TOEFUL-iBT: 総合92以上(全科目20以上)のどちらかを満たして、提出する必要があります。大学によっては、もう少し高いスコアを求めるところもあります。
GMAT/GRE: GMATは、ライティング能力、中級レベル数学、論理的思考力・分析力、読解力を問います。数学のレベルは、日本の小学生から高1くらい、と言われています。GREも同様に、作文、英語、数学から成ります。ちなみに、GMAT/GREの勉強はIELTS/TOEFULのスコアを満たしてから始めた方がいいです。GMAT/GREは、IELTS/TOEFULより難しいと言われているためです。MBA留学を目指す方がこれらを勉強しています。
推薦書:2〜3通の推薦書を提出する必要があります。大学の恩師、会社の上司に英語で書いて頂くよう、はやめに依頼しましょう。
お話を聞いてるとワクワクしてきました!アメリカの方が準備が大変そうですね!
なぜオーストラリアを選んだか
なぜ最終的に留学先をオーストラリアに決めたんですか?
データサイエンスの最先端と言えば、間違いなく米国が人気でしょう。
ではなぜアメリカではなく、オーストラリアを選んだか。その理由は3つです。
電子国家戦略
ひとつは、オーストラリアが世界でもはやくからデジタル国家政策を進めており、電子国家ランキングでも、数年間連続して2位という評価を得ていたからです。(2) 私は、ITエンジニアではないので、どちらかと言えば、データサイエンスが関わる基盤研究よりは応用に興味がありました。
デジタル国家政策を早い段階から進めてるオーストラリアであれば、データの取得がしやすい環境であり、また、日本にはない応用面の着想を得られるのではないかと、期待しました。
実際、あらゆる行政手続きをパソコン・スマホから完了できるため、申請がとても楽です。
生活環境
ふたつめは、オーストラリアの治安の良さに惹かれたからです。
留学を決断したとき、家族帯同した場合のことも考えていました。1人での留学なら気にしなかったかもしれませんが、当時、自国ファーストやブレグジットの社会情勢を心配していました。また、アメリカの銃社会も多少不安に感じていました。
治安を考慮して、オーストラリアを選択しました。また、オーストラリアは、日本との時差も小さいため、生活リズムを崩さず、日本の家族や友人に連絡が取れることも魅力的な点です。
あとこれは個人的な所感ですが、オーストラリアはアジアに近いこともあり、親日な方が非常に多いです。
教育水準
最後の決め手となったのが、オーストラリアの教育に対する世界的な評価の高さです。
私も初めて知りましたが、オーストラリア国内に大学は39校しかありませんが、うち6校は世界トップ100大学に選ばれています。(3) また、国としても教育を主力産業として位置づけており、高い教育水準を維持するために、法律のもとで、一定管理を行なっています。
データサイエンスはもちろん、他の学術領域でも、国際的に非常に高い教育水準と評価を得ていることが分かりました。
以上のことから、わたしは、オーストラリアでデータサイエンスを勉強しようと決断しました。
まとめ
最後に、海外大学のデータサイエンスコースの選び方についてまとめます。
- まず下調べし、留学センターに相談
- 自分の希望にあうコースか「コース内容」はしっかり確認
- 提出に必要な書類と英語力証明書に必要なスコアを確認
- アメリカ留学を選択する場合、GMAT/GREの勉強も視野に入れる
- 留学フェアに足を運んでみるのはモチベーションアップに良い
- 目標が決まったら、まずはIELTS/TOEFULの勉強を開始
まだよく分からないこともあるかもしれませんが、まずは、自分の希望を書き出してみるとイメージが膨らんでいいのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
参考資料
(1): University of San Francisco, “Practicums”
(2): 日本経済新聞, “日本がトップ10に返り咲き、国連の電子政府ランキング”, (7/23/2018)
(3): オーストラリア政府, “オーストラリアの教育事情”, (12/25/2020アクセス)
この記事では「大学のデータサイエンスコースを検討していた頃の管理人の経験」をまとめました。